2019年8月23日

[128] 産経国際書会常務理事、太玄会董事運営委員、官公書連副会長、鼎墨会総務 伊東玲翠(いとう・れいすい)さん(85)

第36回産経国際書展 中国大使館文化部賞受賞作 「世説新語」(縦240×横60センチ)
伊東玲翠(いとう・れいすい)さん  中国南北朝時代に編纂され、日本でも広く読まれた逸話集「世説新語」を書いた作品で第36回産経国際書展中国大使館文化部賞を受賞した。
 「賞をいただくことをまったく考えていなかったので、ただもう恥ずかしい思いでいっぱい。今後も練度の高い線を求めて書を続けていきたい」と語る。

 22、23歳の頃、都心の大手町にあった国際電電(現KDDI)書道部に入ったのがきっかけだ。同部は、大日本書芸院を創設した阿部翠竹の弟、阿部翠屋が主宰する「閑雅会」の国際支部でもあった。
 一度始めるとのめりこむ性質。1年足らずで「条幅を書きたい」と翠屋師に添削を願い、その後太玄会書展、官公書展に出品するようになった。
 ところが、昭和56年に、翠屋師が72歳で急逝。数年して国際部の仲間3人で鼎墨会を結成、独立したものの、順調な活動とは裏腹に、師に十分学べなかった不安が心を占めるようになる。鬱々とした日々の中で気付いたのは、解決するには、原点に戻り臨書を根底に置くしかない、ということ。改めて王羲之を基本に劉墉、米芾等に取り組んだ。
 書籍を求めての本屋めぐりも恒例となり、この間、太玄会で知り合った田中鳳柳最高顧問の誘いで、産経国際書展は第1回から連続出品。搬出入部副部長としても書展を支える。
 「いい線が出れば、また次を書きたいと思う。竹林の七賢を書いた『世説新語』は、長年作品にしたかった題材。引き続き書いていきたい」と笑顔をみせた。
(福本雅保)