棒を手で引き合う形「争」

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 新聞やテレビなどで日々争いごとのニュースが報道されています。そこで今回は「争」を取り上げます。
 「あらそう」という意味で使われるようになったのは、「争」の金文(古代中国で青銅器などの鉄器に刻まれた文字)からとされます。
 よく見ると「争」の金文は、上と下にある手が縦向きの長い棒を引き合っているようです。
 ちなみに「争」を書く際、留意したいのは、教科書体などの印刷文字と、人が書写した手書き文字では形がやや異なる点です。印刷文字は四角い箱の中に収まるような構成ですが、手書き文字の「争」は本来、縦長の字形です。
 6画目はやや丸みをおびながら長くひき、重心がやや上にある字形が、手書きの美しさを表しています。

(産経国際書会副理事長 町山一祥)

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