人が近づくことのできるギリギリの神域...「限」

限  来年(らいねん)東京(とうきょう)オリンピック・パラリンピックに()け、出場(しゅつじょう)目指(めざ)すアスリートは日々(ひび)極限(きょくげん)練習(れんしゅう)(かさ)ねています。そこで今回(こんかい)は、「限」を()()げます。
 (ひだり)金文(きんぶん)()てください。「限」は、神霊(しんれい)がのぼりおり(陟降(ちょくこう))する梯子(はしご)(かたち)20190517_kanji03.png)が神聖(しんせい)場所(ばしょ)にあって、邪悪(じゃあく)な霊が近寄(ちかよ)らないよう(のろ)いをかけた(つく)(もの)()20190517_kanji04.png)を()けました。それを見て、(おそ)れをなしてスゴスゴと(うし)ろ向きに退(しりぞ)いていく(ひと)の形(20190517_kanji05.png)から出来(でき)た、まるで物語(ものがたり)のような文字(もじ)です。「ここに(はい)ってはいけません!」という意味(いみ)で、限界(げんかい)限定(げんてい)制限(せいげん)限度(げんど)などの言葉(ことば)ができました。
 このように、(へん)(文字の左側(ひだりがわ))に()く「阝」(こざと)は、神様(かみさま)の梯子なので、神様に(そな)え物を(ささ)げる意味の「(さい)」に「阝」(こざと)をつけた「(さい)」は、人が神に近づくことができるギリギリのところ、極限を意味します。一方(いっぽう)(つくり)(文字の右側(みぎがわ))に置く「阝」(おおざと)は、形は(おな)じでも、もとの()(ゆう)で、集落(しゅうらく)のことです。字源(じげん)(ちが)うとまったく意味が()わってくるのです。
(産経国際書会常務理事、眞田朱燕)

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