2019年8月 7日

[127] 産経国際書会常務理事・書成会会長 建部恭子(たてべ・きょうこ)さん(72)

第36回産経国際書展出品作 「椋鳩十『生まれでるもの』」(縦180×横90センチ)
建部恭子(たてべ・きょうこ)さん  昨年、東北・関東を中心に活動する書成会が30周年を迎えたのを機に第3代会長に就任。初代本多道子会長(書会名誉顧問)、2代田村政晴会長(同常任顧問)と続く大社中を令和の時代に率いる。
 「コツコツやっていれば必ず認められる時が来る。私もその信念でやってきた。根気よく続ければ誰でも上手になれる書の楽しさを伝えていきたい」と語る。
 仙台近郊の宮城県塩竈市の生まれ。6人兄妹の末っ子で、長姉で書会顧問を務めた故佐藤静香氏とは16歳違い。父が早くに亡くなったこともあり、親代わりの存在だった。現代書のパイオニア、国井誠海氏に学び、書成会の創設に関わった姉の下で、子供の頃から自然と書を学び、中3からは、大人に交じって、姉の師である田村桃溪氏についた。大学生の時には、初めて書いた現代書が国井氏の目に留まりその門下に。結婚後も姉の塾を手伝いながら書展への出品を続けた。
 「ひたすら書中心の生活でした。出産する3日前でも大きなお腹を抱えて書いていた。それで少しも変と思わなかった」と振り返る。
 東日本大震災では、教室が津波の被害を受けたが、姉や門人たちと力を合せて再建。その震災を書いた書で、一昨年、地区最高賞の伊達政宗賞を受賞した。
 「書は自分そのもの。自分の強さ、弱さがすべて作品に現れてくる。いつも新しい自分を書きたいと思っています」。
(福本雅保)