2021年6月13日
「残」が持つ本来の意味は...
![20210611_kanji_01.png](https://www.sankei-shokai.jp/20210611_kanji_01.png)
6月も
半ば。今年もそろそろ
残り半年、その前に東京オリンピック・パラリンピックという大きなイベントまで残り日数もわずかになってきました。そこで今回は「
残」について考えてみます。
残には、
傷なう、むごい、のこる...などの意味があります。
篆書体では、「
![20210611_kanji_03.png](https://www.sankei-shokai.jp/20210611_kanji_03.png)
」と書きます。
意味の「
![20210611_kanji_04.png](https://www.sankei-shokai.jp/20210611_kanji_04.png)
」と、
音の「
![20210611_kanji_05.png](https://www.sankei-shokai.jp/20210611_kanji_05.png)
」を組み合わせた文字です。「
![20210611_kanji_06.png](https://www.sankei-shokai.jp/20210611_kanji_06.png)
」は死の意味を持ち、「
![20210611_kanji_07.png](https://www.sankei-shokai.jp/20210611_kanji_07.png)
」の音は「
斬」に通じ、
斧や
鉞で切ることをいいます。
中国の古い書物「
論語」に「残に勝ち
殺を去る」とあります。
暴力(残)を制して殺
伐なこと(死
刑)をなくすことができる―としています。
もともとは「残る」という意味はなかったのです。残るは、本来「
![20210611_kanji_08.png](https://www.sankei-shokai.jp/20210611_kanji_08.png)
」で、肉の食い残しのことで、この文字を
借りてきて「のこる」「あまる」の意味として使われるようになりました。残
酷や残
忍といった言葉を思い浮かべると、残の本来のイメージもつかめるのではないでしょうか。
(産経国際書会副理事長 高橋照弘)