2021年4月25日

去年に勝る豊作ねがう「勝」

20210425_kanji01.png  「勝ちました!」。オリンピックで日本選手がついに(ゆう)勝、金メダル―。夏のオリンピック出場をかけた競技(きょうぎ)が開かれていますね。そこで今回は「勝」を取り上げます。
 元の字は「20210425_kanji03.png」と作り、「20210425_kanji04.png」の元は「20210425_kanji05.png(よう)」という形。左(がわ)の「月」はここでは空の月や、肉月ではなく「(ふね)」((ばん))を指し、中に物を入れ両手で(ささ)げて、人に送ることを(しめ)しているんだ。金文を見るとよく分かるね。
 「20210425_kanji04.png」の下の「カ」は、前回の「勉」と同じ耒(すき)の形で、耒に盤中の物を添えて豊作を(いの)り、良い結果(けっか)()るという意味。 
 「まさる」「かつ」「すぐれる」と使われ、元の字を「勝」とした。((けい)勝、名勝、勝(はい)、勝算)や(勝気、男(まさ)り、身勝手)などの用例もある。
 (せん)門的には貝(貨幣(かへい))を贈ることを「 20210425_kanji06.png(ヨウ)」、(よめ)入りのお(とも)の女を「20210425_kanji07.png(ヨウ)」、文書の正本(せいほん)に対する副本(写し)が「謄(トウ)」となるんだ。
 「世の中は優勝劣敗(ゆうしょうれっぱい)が常だけど、負けるが勝ちの時もある」。これ分かるかな。
(産経国際書会副理事長 勝田晃拓)

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