頭を下にして生まれた子供...「育」

　今年(ことし)は教育改革(きょういくかいかく)の年(とし)とされ、小学校(しょうがっこう)では新(しん)学習(がくしゅう)指導要領(しどうようりょう)に基(もと)づく指導が4月(がつ)から始(はじ)まります。教育は国(くに)の基本(きほん)。そこで、「育(いく)」という漢字(かんじ)をみてみましょう。
　「育」を分解(ぶんかい)すると「」と「月(つき)」に分(わ)かれます。「」は、「子(こ)」を上下逆(じょうげぎゃく)に書(か)いた文(も)字。「月」は肉(にく)の意味(いみ)があり、頭(あたま)を下(した)にして生(う)まれた子供(ども)が肥立(ひだ)ちよく、肉がついて太(ふと)ることを表(あらわ)しています。
　これは、「育」の元(もと)の字である「毓(いく)」の金文(きんぶん)（上(うえ)）を見(み)るとよく分かります。左側(がわ)の「毎(まい)」は髪(かみ)を整(ととの)えた婦人(ふじん)の姿(すがた)で、右(がわ)側の「㐬(とつ)」は、「」と同(おな)じく生まれた子を表します。髪の毛(け)を逆立(さかだ)てて逆さまになった子供がおかあさんの体内(たいない)から生まれたところを表しているのがよく分かりますね。
　「教育」のほか、「育児(じ)」「育成(せい)」「発(はつ)育」などと使(つか)います。新指導要領では小学１・２年生(せい)から、水書(すいしょ)による書写(しゃ)の運筆(うんぴつ)の指導が始まります。皆(みな)さんも、負(ま)けずに綺麗(きれい)な字に挑戦(ちょうせん)してくださいね。
（産経国際書会常務理事、山本晴城）