イメージを心に描く...「想」

　平成(へいせい)の時代(じだい)もあと3カ月(かげつ)。新(あら)たな年号(ねんごう)に変(か)わります。皆(みな)さんにとって、「平成」はどんなでしたか？　新(あたら)しい時代をどう想像(そうぞう)しますか？
　「想」は、「相」と「心」に分(わ)けて考(かんが)えることができます。上(うえ)の篆書体(てんしょたい)をみると、大地(だいち)を覆(おお)う木(き)の象形(しょうけい)（）と目(め)の象形（）、そして心臓(しんぞう)の象形「」に分かれることがわかります。そこから、事物(じぶつ)の姿(すがた)（形容(けいよう)）を見(み)て、それを思(おも)い浮(う)かべる、という意味(いみ)ができたのです。
　「想」には①願(ねが)い望(のぞ)む②思いやる③思いにふける、偲(しの)ぶ④考えるなどの意味があり、思想(しそう)、感想(かんそう)、空想(くうそう)、想念(そうねん)などと使(つか)います。
　同(おな)じ「おもう」では、「思」がありますが、「思」が、「彼(かれ)は独身(どくしん)だと思う」のように、映像(えいぞう)ではなく感情(かんじょう)・感覚(かんかく)で思うのに対(たい)し、「想」は、「不測(ふそく)の事態(じたい)を想定(そうてい)する」のように、イメージを映像として頭(あたま)（心(こころ)）に描(えが)くことに使います。
（産経国際書会常務理事、山本晴城）