長い鼻の動物を表した象形...「象」

　今回(こんかい)は動物園(どうぶつえん)の人気者(にんきもの)の登場(とうじょう)です。左(ひだり)の「象(ぞう)」の金文(きんぶん)をみると、何(なん)となく「長(なが)い鼻(はな)の動物」を表(あらわ)していることがわかりますね。中国(ちゅうごく)では、古(ふる)く殷(いん)の時代(じだい)（紀元前(きげんぜん)17世紀(せいき)頃～紀元前11世紀）には、象を捕獲(ほかく)して宮殿(きゅうでん)などの土木工事(どぼくこうじ)に使(つか)っていたとされ、なじみのある動物だったようです。
　このように物(もの)や動物の形(かたち)、姿(すがた)から由来(ゆらい)した文字(もじ)を「象形(しょうけい)文字」と言(い)います。また、象は陸上(りくじょう)の動物ではかなり大(おお)きいことから、「大きなかたち」「大きなしるし」を意味(いみ)し、そこから「かたち」「しるし」を表すようになりました。
　晴(は)れ・雨(あめ)など自然(しぜん)の大きなかたち・しるしを「気象(きしょう)」、現実(げんじつ)のかたちになった出来事(できごと)を「現象(げんしょう)」と言いますね。また、象に「にんべん」を付(つ)け加(くわ)えると「人(ひと)に似(に)せたかたち」を表す「像(ぞう)」になります。
（産経国際書会評議員、鈴木暁昇）