見慣れないよその人...「他」

　夏休(なつやす)みに、他(た)校(こう)の生徒(せいと)と山(やま)でキャンプやその他(ほか)の体験(たいけん)をすることになった。蛇(へび)に嚙(か)まれないように注意(ちゅうい)すること...。
　今回(こんかい)取(と)り上(あ)げる「他」の右側(みぎ)の「也」は、古(ふる)くは「它(だ)」と書(か)き、上(うえ)の金文(きんぶん)を見(み)ると、頭(あたま)の大(おお)きな蛇の形(かたち)をしているね。昔(むかし)、中国(ちゅうごく)では道(みち)などで毒蛇(どくへび)に嚙まれることが多(おお)く、人(ひと)に会(あ)うと、「ヘビに嚙まれなかったか？」と尋(たず)ねていた。
　「他」の字(じ)は、「亻」（ひと）と、音(おん)を表(あらわ)す「也」（へび）を合(あ)わせて、「変(か)わった出来事(できごと)」を指(さ)し、「見慣(みな)れない人」や「ほかのこと」の意味(いみ)になったんだ。
　ちなみに「池」や「地」「弛」にも「也」があるけど、成(な)り立(た)ちは「他」とは違(ちが)うんだ。「他山(ざん)の石(いし)」の意味も他人の力(ちから)を借(か)りずに、自力(じりき)で調(sira )べてみよう。
（産経国際書会副理事長、勝田晃拓）