2019年4月26日

[124] 産経国際書会常務理事・書祥社主宰・東洋書芸院副理事長・書研社 町山一祥(まちやま・いっしょう)さん(59)

第35回記念産経国際書展出品作「鉅のイメージ」(縦180×横90センチ)
町山一祥(まちやま・いっしょう)さん  産経国際書会元副会長で、前衛書で国際的に活躍した故小川瓦木。その瓦木が創刊し、60年余の歴史を持つ競書誌「書研」の編集を4月から引き継いだ。
 「書を学ぶには、文字のつくり方のプロセスを学ぶなどの技術の勉強が大切。瓦木先生が情熱を傾けた書研をさらに良いものにしていきたい」と抱負を語る。
 平成17年の第22回産経国際書展で、45歳の若さで会長賞を受賞した俊英。

横浜市で書塾を経営していた父に幼少時から鍛えられ、15歳の若さで瓦木に弟子入り。大家の間近で学んだ。傍ら高校から大学にかけて、のちにFF(ファイナルファンタジー)音楽を作曲する植松伸夫らの仲間とイベント活動に熱中した。
 この時期傾倒したのが「もの派」を主導した現代美術家、李禹煥。李作品の強烈な線を、書にどう取り入れるかを模索したという。
 大学卒業後は、日本書写技能検定協会に勤務しながら継続的に出品。平成12(2000)年に瓦木が死去すると、日展作家の篆刻家、河野隆(29年死去)の薫陶を受けた。
 「瓦木先生には、常々『美学を勉強しろ』と言われていた。河野先生には設計図の大切さを教わった。今、書をやるには理論武装が必要、ということ」と話す。
 産経展の作品は、鳥の子紙にポスターカラーなど使い、文字性にこだわった作品が多い。
 「前衛といった言葉に縛られるのではなく、自分の言葉で自分の作品を書くことを心がけています」。
=敬称略

(福本雅保)