2019年3月22日

[123] 産経国際書会常務理事・尚友会会長・東洋書芸院理事長 小杉修史(こすぎ・しゅうし)さん(70)

2018 日本台湾書道交流展出品作「『あ』『い』による(18-SH-7)」(縦90×横90センチ)
小杉修史(こすぎ・しゅうし)さん  上田桑鳩の高弟で、書会創設メンバーのひとりだった佐野丹丘氏の創設した尚友会を継承する。生涯の師との出会いは、「ホウキ」が取り持つ不思議な縁だった。
 小学生時代に書塾に通ったものの、臨書が嫌で辞め、その後は希望のエンジニアの道一直線。それが、工学部に入学した静岡大学の新歓イベントで、書道部を覗いたことで人生が一変した。

 出会ったのは、それまで見たことのない一字書。勧められ、ふすま紙に「ホウキ」を筆替わりに書いた「作品」が、偶然佐野氏の目に入り、気に入られた。
 以後、尚友会の展覧会や錬成会に「男手」として呼ばれ、いつの間にか弟子に。多忙な社会人の時期も展覧会出品は欠かさず、台湾や中国の海外出張の合間に美術館に通って古典に接し、目の勉強につとめた。
 今も、墨の代わりに使うのは、地元静岡産の日本茶とウーロン茶のブレンド。約20年前から文字をアブストラクト(抽象芸術)にしようと思い立ち、「ひらがな」を題材にしている。
 「変わったものばかり書いているのに、先生はいつも大きな心で接して下さった。自分も、メンバーの良いところを伸ばすよう気をつけています」。
(福本雅保)