2011年1月28日

産経国際書会理事長代行・岩田正直さん(66)

「書を身近に」公募展創設

「書は本来、身近なところに飾って鑑賞すべきものです」

 著名書道展が肩書を得るための登竜門と化し、室内にはとても飾れないような大寸法の作品を対象としていることに疑問を抱いていた。平成9年に、縦横50センチ以内の作品の公募展を提唱、専門紙に同志を募る全面広告を出したところ、「立派な先生方が流派をこえて共鳴してくれた」

 以来、事務局長を務める「インテリアの書」展は順調に発展。東京・池袋の東京芸術劇場で開く本展は昨年、13回目を数え、32都道府県から572点が出品された。韓国の書家との交流も活発で、今年は本展を韓国で開く予定だ。

 書を習い始めたのは小学校に入る前。いったんはサラリーマンになったものの、下請け企業に過酷な条件を強いる資材部員としての仕事に嫌気がさし、28歳の時に埼玉県坂戸市に書道教室を開いて独立。3年後に、応募作品を表彰する月刊誌「墨晨(ぼくしん)」も創刊した。

 中国の明清朝時代の行草体を得意とし、近年は甲骨文にも境地。書家の可能性を引き出すために、書道界には「混沌を受け入れる度量の広さが求められている」と語る。(原誠)