2024年4月14日

日本で生まれた漢字「働」

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 漢字は、中国から朝鮮半島を経由して日本へ伝わり、5世紀頃に使用されるようになりました。大半は中国伝来のものでしたが、中には日本で生まれた漢字もあります。今回紹介する「働」もそのうちの一つです。
 「働」は「にんべん」と「動」を組み合わせたいかにも中国発祥のような字ですが、そうではありません。「働」のように日本の風土や生活に合わせて作られた和製漢字は「国字」といい、その数は確認できるだけでも1500字以上あると言われています。
 「働」という字を篆書(てんしょ)の字典で調べても見つけることができません。ただ、この字は近代になって中国へ輸入され、中国でも使っていた時期があります。
 小学校で学習する漢字の中に「国字」は「働」と「畑」がありますが、常用漢字の中には、この他にも「峠」「凪」「込」「匂」「榊」などがあり、「(しめ)」も国字の一種だと言われています。身近な国字を調べてみるのも面白そうですね。

(産経国際書会副理事長 町山一祥)