2021年2月21日

そろそろ厚い着物を脱ぐ季節「衣」

20210221_kanji01.png  次第(しだい)に春の足音が聞こえ、何(まい)も重ね着していると(あせ)ばむ日もある季節(きせつ)となってきました。そろそろ(あつ)いコートもいらない、と感じる人もいるでしょう。東京などでは3月も半ばになれば衣替(ころもが)えする人も出始めます。今回は、小学4年で学ぶ漢字「衣」について説明します。
 部首は「衣」、音読みで「イ」、訓読みでは「ころも」、常用漢字外だと、「きぬ」「き(る)」になります。意味は、上着や着物、衣服、僧侶(そうりょ)が着る上着など。
 「衣裳(いしょう)」は、衣が上半身に着るもの、裳は下半身をおおうもの、という意味があります。
 漢字の成り立ちを説明すると、イラストのように服の襟(えり)を左右に交差させた様子を表した象形(しょうけい)文字から生まれたものです。
 古代中国では、「衣」に人の霊力(れいりょく)が宿っていると考えられ、それを受け()ぐ意味の文字に「衣」が多く(ふく)まれています。
 例えば、僧侶が弟子に伝える袈裟(けさ)(はち)を指す「衣鉢(いはつ)」。転じて、宗教(しゅうきょう)芸術(げいじゅつ)などで()から弟子に奥義(おうぎ)を伝えることを、「衣鉢を継ぐ」と言います。
(産経国際書会常務理事 山本晴城)

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