2021年1月10日

神の裁きに勝てば「慶」

20210107_kanji01.png  今年は何枚の年()状が(とど)きましたか? 正月を(いわ)うおめでたい言葉「(けい)賀」と書かれたものもあったのではないでしょうか。
 「慶」は学校で学ぶ教育漢字ではなく、常用漢字に含まれますが、部首は「心」です。
 心のよろこびや祝う気持ちを表す「慶賀」、めでたいことを表す「慶事」、自分にとっても同じようにめでたく感じることを「ご同慶の(いた)り」などと言ったりします。
 慶を説明するには、先ず「(ぜん)」を考えます。その本字は「譱」、前回も登場した「羊」が含まれています。羊に似た神聖な(けもの)「解廌(かいち、かいたい)」を、羊の左右にある原告(げんこく)()告を表す「言」が(かみ)()し出し、神の(さば)きを受けるのです。この神判(しんぱん)勝訴(しょうそ)することを「慶」、(はい)訴が「(ほう)」となりました。
 勝訴した(がわ)は、解廌の(むね)に「心」の字形の文身(ぶんしん)(入れ墨)を(ほどこ)し、神の祝福(しゅくふく)を受けた(しるし)としました。
 慶は廌(たい)に心を加えた会意文字で、心からのよろこびを表します。まさに新年にふさわしい文字なのです。令和(れいわ)3年、明るく幸せな年になることを祈りたいものです。
(産経国際書会常務理事 眞田朱燕)

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