2020年12月20日

虎の皮をかぶり座って演技待つ「処」

20201216_kanji_01.png  前回に続き、「(とら)」に関連(かんれん)する文字、「(しょ)」を取り上げるよ。
 旧字では「處」と書く。金文を見ると、「虎」と、物を()せたり、ひじや(こし)()けたりする足つきの台である「()」の組み合わせで、虎が几に腰かけている形。この虎、本物ではなく、実は虎の皮を身に着けた人。(せん)勝を(いの)って行う(げき)()式)を(えん)じる前、まず椅子(いす)に座っているというわけだ。
 そこから、「處」は、「腰かけている人がいる所」の意味になり、そこから「いる所」となり、(さら)に「おく」「すえる」「あつかう」「きめる」にも使われている。
 今は「處」の一部を取って、「処」になっている。処置(しょち)、対処、処(ぐう)、処女作―などがあるね。
 「(げき)」では「 (りっとう)」=刀=を、「()」では「 (ほこ)」を持って、それぞれ虎の皮を身に着けた者を()つ虎退治(たいじ)演技の形になっているんだ。ちなみに、おなじみの「(とら)」さんとは、関係はないんだよね...。
(産経国際書会副理事長 勝田晃拓)

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