川のそば　安全を祈る姿「順」

　おや？　プイッとふくれ顔。人から注意されたら、その方に頭を向けて素直に従う従順(じゅうじゅん)さが大切だよ。
　「順」の金文を見てごらん。左の「川」は川の流れ。「頁」は儀礼(ぎれい)用の帽子(ぼうし)をつけて拝(おが)む人を横から見た姿で、成りたちは川を渡る時の儀式なんだ。
　水際(みずぎわ)で親を祀(まつ)って祈(いの)り、安全を確(たしか)かめてその決まりに従って川を渡った。金文にはその水際と同じ形の「瀕(ひん)」もあるよ。元は神意に従うことだったけど、道筋(すじ)に沿(そ)って水が流れるように、相手の言うことや、道理に素直に頭を向けて従うことを表し、そこからすべてに従う（逆(さか)らわない、素直）意味や、（順風、順当、順応(じゅんのう)）更(さら)に、（順位、順延(えん)、道順）と使うんだ。
　因(ちな)みに、「川」の付く字（巡(じゅん)、訓(くん)、馴(じゅん)）は決まりに沿って何かを貫(つらぬ)くことに関係するよ。ここまで順調に理解できたかな？　また順次、新しい漢字を紹介するよ。順不同(ふどう)で...。
（産経国際書会副理事長　勝田晃拓）