2020年3月15日

月があるのに太陽が...「朝」

20200313_kanji_01.png  今年(ことし)(はる)(おとず)れが早く、朝起(あさお)き((はや)起き)が(らく)になりました。そこで、今回(こんかい)は「朝」を考えました。
 朝の甲骨文(こうこつ)は、20200313_kanji_03.png(くさ)(おお)いところ)の(あいだ)太陽(たいよう)(日)が出て、まだ月影(つきかげ)が(☽)(のこ)っている(かたち)で、字全体(じぜんたい)象形(しょうけい)で、「早朝(そうちょう)」の意味(いみ)(しめ)会意(かいい)文字(もじ)です。会意とは、「(ひと)」と「()」からできている「(きゅう)」が、人が木に()りかかって(やす)姿(すがた)を表すようなものです。
 甲骨文より時代(じだい)(すこ)(くだ)(きん)文では、(あさ)(つくり)の月が、岸辺(きしべ)に流れる水の形(20200313_kanji_04.png20200313_kanji_05.png20200313_kanji_06.png)に描かれ、潮の干満の意味を示す字が作られています。
 古代(こだい)天子(てんし)大勢(おおぜい)官僚(かんりょう)(したが)えて、朝夕(ちょうせき)の礼(朝日を(むか)え、夕日(ゆうひ)(おく)儀式(ぎしき))を廟奥(びょうおく、ひさしの深い建物)で行っていました。
 やがて、太陽を迎えると同時に廟(まえ)では政務(せいむ)(おこな)われるようになり、朝政(ちょうせい)朝廷(ちょうてい)などの言葉もできました。
 「朝起きは三文(さんもん)(とく)」。(いま)でも農作業(のうさぎょう)は太陽と(とも)に行われています。
(産経国際書会常務理事、眞田朱燕)

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