人がかめに入った酒を飲む...「飲」

　いよいよ夏本番(なつほんばん)。喉(のど)がカラカラで、冷(つめ)たい水(みず)やジュースを飲(の)みたーい！　そこで今日(きょう)は、「飲」を取(と)り上(あ)げます。
　上(うえ)の金文(きんぶん)を見(み)ると、「飲」は、もとは「酓(いん)」と「欠(けん)」との組(く)み合(あ)わせ。「欠」は、人(ひと)が大(おお)きく口(くち)を開(あ)けて何(なに)かを飲む形(かたち)になっているよ。偏(へん)の「酓」は、もとはお酒(さけ)の入(はい)った甕(かめ)に蓋(ふた)をした形だった。つまり、「飲」は、甕（樽(たる)）からお酒を飲もうとしている人の様子を表した文字なんだ。そこから「のむ」と使うんだ。
　同(おな)じ「のむ」でも、「薬(くすり)」や「唾(つば)」をのむときは、噛(か)まないで丸(まる)のみするから、「吞(どん)」を使うよ。「息(いき)」、「涙(なみだ)」や「条件(じょうけん)」をのむ、は、ひらがなで「のむ」と書(か)くんだ。
（産経国際書会副理事長、勝田晃拓）