軍門の前で神に平和を誓う...「和」

　友達(ともだち)とケンカしたあとニッコリ笑(わら)って仲直(なかなお)り。心(こころ)の痛(いた)みが和(やわ)らいで、何(なん)となく和(なご)やかな雰囲気(ふんいき)になるね。今日(きょう)の文字(もじ)は「和(わ)」だよ。
　金文(きんぶん)の左(ひだり)の部分(ぶぶん)「禾(か)」は、軍隊(ぐんたい)の陣地(じんち)の門(もん)の前(まえ)に立(た)てる標識(ひょうしき)の木(き)の形(かたち)のこと。右(みぎ)の「口(くち)」は、「」で、神様(かみさま)への祈(いの)り文(ぶん)の祝詞(のりと)を入(い)れる器(うつわ)の形で、よく出(で)てくるよね。だから、「和」は、を置(お)いた軍門の前で、戦(たたか)いを止(や)め平和(へいわ)な状態(じょうたい)に戻(もど)す約束(やくそく)をすることを指(さ)すんだ。そこから、「やわらぐ」「なごやか」「なごむ」の意味(いみ)に使(つか)われ、「和解(かい)」「和睦(ぼく)」「講(こう)和」や、「調(ちょう)和」「和気(き)」「柔(にゅう)和」などと用(もち)いるんだ。
　さらに、「和風(ふう)」「大和(やまと)」の「和」は日本(にほん)のことを指すんだ。足(た)し算(ざん)の答(こた)えも「和」。魚(さかな)や野菜(やさい)を「和(あ)える」とも使うね。
　前回(ぜんかい)取(と)り上(あ)げた「令(れい)」とあわせた「令和」は、日本の進(すす)むべき道筋(みちすじ)にぴったりの漢字(かんじ)二(に)文字になっているね。ところで、キミは和食(しょく)と洋(よう)食はどちらが好き？　えっ！中華(ちゅうか)がいいって！？
（産経国際書会副理事長、勝田晃拓）