2018年10月14日

建物の位置や、方位を決める...「定」

20181010_1.png  ビルなどの建造物(けんぞうぶつ)正面玄関(しょうめんげんかん)などに、「定礎(ていそ)」と()かれた文字(もじ)と、竣工(しゅんこう)年月日(ねんがっぴ)(しる)されたプレートがはめ()まれているのを、()たことはありませんか?
 元来(がんらい)、「定礎」とは、建築着工(けんちくちゃっこう)(さい)し、まず土台(どだい)となる「礎石(そせき)」を()えることを言いました。
 「定」の金文(きんぶん)(うえ))を見ると、祖先(そせん)(れい)(まつ)るみたまやの屋根(やね)(かたち)をした20181010_3.pngと、(ただしい)しいことを表す20181010_4.pngの字から()()っています。「定」とは、建物(たてもの)位置(いち)や、(ほし)による方位(ほうい)(さだ)めること。定礎とは、定まった位置や方位に、土台となる礎石を据えることで、そこで(はじ)めて建築にとりかかったのでした。
 現在(げんざい)の、ビルの定礎プレートの(おく)にはお(ふだ)や、建築図面(ずめん)、定礎(しき)の日の新聞(しんぶん)や建築関係者(かんけいしゃ)名簿(めいぼ)などが入った定礎(はこ)()められていると()きます。なんだか、タイムカプセルみたいですね。
(産経国際書会常務理事・眞田朱燕)

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