[100] 産経国際書会最高顧問・日本書芸心龍会会長 村越龍川(むらこし・りゅうせん)さん(88)

第33回産経国際書展出品作「儼若恩」(縦91×横182センチ) 村越龍川(むらこし・りゅうせん)さん  4月14日に88歳の誕生日を迎えた村越さん。日展に36歳で初出品し、10年連続入選(会友)。産経国際書展は第2回から審査員をつとめ、第24回展(平成19年)で内閣総理大臣賞受賞、平成22年に書会最高顧問に就任した日本を代表する書家の一人だ。
 「試行錯誤を繰り返した分、時間はかかったが、しっかり血肉になったと思う。何より頭を使って考えて実践することが習慣になりました」と来し方を振り返る。

 書を始めたのは20歳を過ぎてから。地元浜松在住の書家、伊藤松濤(しょうとう)氏に師事。書技の基本から手取り足取りの指導をうけたが、「下手、不器用」と言われた。
 この言葉が村越青年の心に火をつけた。下手ならば稽古するしかない。戦後のモノ不足の時代に、新聞紙に何度も書き、真っ黒になったら乾かしてさらにその上にも書き続けた。さらに、漢字だけでなく、かな、ペン字と、多い時は15もの競書誌に毎月作品を投稿、上位賞を総なめにした。
 「競書で楽しんだのは、(主宰の)先生の気持ちを察して作品にして出すこと。そうすると必ず作品の写真が掲載されました」
 36歳のとき、神戸の広津雲仙(ひろつうんせん)氏に師事。ここでも生来の勉強癖が頭をもたげ、王鐸、張瑞図、呉昌碩などの臨書に明け暮れた。同時に日展出品を指示され、初出品初入選を果たした。 
 昭和52年に月刊書道誌「心龍」を創刊してからは会員の育成に情熱を注ぐ。「心龍」誌を開くと、漢字、かな、書簡、硬筆、小学1年から大人まで掲載されるお手本は、すべて村越さんの手によるもの。地元のカルチャー教室では40年以上にわたり、週1回一般の書道愛好者への直接指導を続けている。
 「変わることは進歩。それを常に自分に気付かせることが大事です。今も己の生命の鼓動を筆画にいかに盛るかを思い、筆をとっています」
(福本雅保)

「墨と筆」は平成21年10月の連載開始以来、100回を迎えることができました。本日は拡大特別版でお届けします。
産経国際書展会場で揮毫する村越さん