2017年1月28日

[97]産経国際書会副理事長・研友社理事長・太玄会事務局長 金丸鬼山(かなまる・きざん)さん(77)

虚静
金丸鬼山さん
 国際書会では、国際書展、新春展でのギャラリートーク、講演会などを行う企画部担当。「書を学び始めた人たちがさらに意欲を持てるように楽しい企画を心がけている」と話す。

 書を始めたのは外資系の化学会社に入社し、家庭をもった後の29歳のとき。会社の書道部の錬成会を見ていて、講師から「君には書けないだろう」と言われ、反発して入部した。

 もともと手先が器用なうえに、途中で物事を投げ出せない性格。帰宅後に徹夜で作品を仕上げることもしばしばで、順調に師範に。41歳で研友社に移り、田中鳳柳会長(国際書会最高顧問)と出会って、古典の重要性に目覚めた。
「実力判定試験の楷書作品を、好きだった鍾繇(しょうよう)風で書いたのですが、先生から、『作品はこうでなければならない』と褒めていただいたことを覚えています」。

 古典を徹底して学び、学んだものを血肉として自分の作品に仕上げていく。選文から仕上がりまで何年もこだわりぬく姿勢は、師も舌を巻くほどだ。

娘の指導がきっかけで、30歳から始めた教室も40年を超えた。「作品に行き詰まると、教室の子供に字を書いてもらうこともある。何の力みもない稚拙の美。究極の字を書くことが目標です」。(福本雅保)