2016年2月26日

[86]常務理事・煌心こうしん書道会事務局長 黒田浩芳さん(72)

旗影颺
自詠自書に開眼
黒田浩芳さん
 1月開催の第30回産経国際書会代表展に出品したのは、富士山を「お題」に競作した漢詩を書いた自詠自書の作品。「旗影颺(きえいひるがえる)」は、元旦の朝に国旗がひるがえり、富士山が綺麗だ、というような内容という。

 書を本格的に始めたのは次女が幼稚園に入って余裕ができた40代初め。産経国際書展の創設者の一人であり、生涯の師となる故・山田松鶴氏が発行する競書誌「鶴心」で学んだ。産経展には一般公募から参加し、平成2年の7回展で初入選、9回展では産経新聞社賞を受賞。その後の審査会員に昇格した19回展では、最高賞のひとつといえる会長賞に輝くなど、見事な書歴を誇る。

 漢詩の創作は、この分野の第一人者のひとりである書道家・石川芳雲氏と知り合ったのをきっかけに5年ほど前から始めた。「10年やれば誰にでもできる」という言葉を信じたが、漢詩の作法は難解なうえ、さらにそこから書作品として完成させるには、文字の選び方などによる「活きた線」や「見栄えの良い字面」も重要となり、「これはもう至難の業」と神妙に語る。「何にでも挑戦したらよい」励ましてくれた晩年の松鶴氏には、改めて感謝の念が尽きない。

 松鶴氏が会長を務めた鶴心書道会は、松﨑龍翠会長の下で煌心書道会と名を変え再出発して、早くも3年。事務局長としても多忙な日が続く。(松本篤幸)