2015年3月 6日

[74]常務理事 墨笙会主宰 眞田朱燕さん(71)

第30回記念産経国際書展出品作品 杜甫 曲江(きょくこう)
振り返れば書しかなかった
眞田朱燕(しゅえん)さん
本格的に書道に取り組もうとしたのは短大を出てすぐ。当時住んでいた巣鴨に本拠をおく教室に入門した。占領下の小学校時代は習字が必須ではなく、「書初め」も一部の学校でしかやらなかった。

好きな習字の授業がなく、満たされない思いに駆り立てたのか、情熱は教室での稽古だけに留まらなかった。「文字学」の講座に通い、硬筆も含めた様々な競書雑誌の会員になり、公募書道展にも積極的に参加するなど、活動の範囲は拡大した。書道展では30代で太玄賞を受賞したほか、大日本書芸院展準大賞、日書画展大賞など、特別賞も手にした。

50代で独立してからは、中国の北宋時代の米芾(べいふつ)に傾倒し、範としてきた。米芾は、書聖・王羲之の研究家であり、後の中国の能書家に大きな影響を与えた。その「自然で品の良い、抑揚の部分を強調した書風」を極めたいと力強く語る。「納得のいく域に達したら2回目の個展をやりたい」とも。「振り返れば書しかなかった」としみじみと語る。
3月1日より4日まで、東京・文京シビックセンターで、主宰する教室の展覧会「墨笙展」が開催される。