2014年10月24日

[70]審査会員・第31回産経国際書展国際大賞 小名玉花さん(39)

老子「道徳経」(縦180センチ×横60センチ)
細楷で表現、書への情熱
小名玉花さん
 受賞作は全81章で構成される「道徳経」の18章から32章までの抜粋。1畳の大きさに相当するサブロク(3尺×6尺)の紙にびっしりと1000字を超える金色の文字が整然と並ぶ力作だ。昨年に続く2回目の「道徳経」は、わずか1日半で一気に書き上げた。

 書道家の両親を師に6歳から書を始めた。字を書くことが大好きで、学生時代は地元の埼玉はもとより、北関東や関西の硬筆、毛筆の書初め展や書道コンクールにも出品し、最高賞を受賞したことも。

 今回の受賞作のような細楷(さいかい)(小さい字の楷書)は、通っていた高校の書道部がペン習字などの硬筆展に参加しなかったことをきっかけに始めた。好きな硬筆のイメージを毛筆で表現でき、たくさん字を書く細楷は、自らの書への情熱と見事にマッチしたといえる。ただ、文字が多いと粗(あら)も見えて純粋に喜べないこともあり、細字から中字へシフトしつつあるとも語る。

 産経展では、17回展から細楷作品に挑戦し、いきなり特選を受賞。今は亡き祖父に下書きを見てもらい、褒めてもらったことが何よりうれしく励みになったと、当時を思い出して涙ぐんだ。(松本篤幸)