2011年4月15日

産経国際書会専管理事 北川佳邑(かゆう)さん(69)

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「書も紙も、同じものは二度とできません。だからこそ楽しみも、苦しみもあるのです」

 かな書に用いられる装飾料紙を手作りする。かなの美しい線を追究して古筆にふれているうち、「元永本古今集」や「西本願寺本三十六人家集」などの料紙の美しさに圧倒され、「1300年も前からこんなに素晴らしい伝統文化があるのだと、日本人として誇りに思うようになった」のがきっかけだ。

 最初は専門家についたが、絵の具を植物染料に変えるなど、持ち前の研究熱心さが高じて自分なりの世界を切り開いた。NHKの番組で、尾形光琳の「紅白梅図屏風」の金色は金箔ではなくカリヤスという植物染料だったと知ると、カリヤスを入手するために親戚や知人らを動員。あげく、「何のことはない、ホームセンターで売っていたんです」と笑う。

 主宰する書道教室「檀(だん)の会」には、料紙作りも習う生徒も多い。書のテーマを決め、それに合わせた料紙から作り始める。26日から5月1日まで東京・銀座の鳩居堂画廊で開く「檀の会書展」では、そうした文字と紙の調和を目指した作品の数々が披露される。(原誠)

4月15日付け産経新聞より