ルーツは神にささげるお酒の儀式「尊」

「尊」という漢字は、なんだか神聖な感じがしませんか。「尊」の成り立ちをひもとくと、古代の人が神前で酒器を持ち上げ、お酒をささげる様子が目に浮かんでくるのです。
「尊」は次の３つのパーツに分解できます。
①「酉」。これはお酒を入れる器の形を表しています。昔はガラスのコップではなく、特別な器にお酒を入れていました。
②「八」。「尊」の旧字「」では「酉」の上に「八」が付きます。これは、お酒の蓋、または香り。おいしいお酒は香りもまた格別なものです。
③「寸」。これは神聖な器を丁寧に持ち上げる手の様子です。
「尊」という漢字に込められた、神聖な儀式や人々の敬虔な気持ちが感じ取れますね。そこから「尊」は「尊ぶ」「敬う」という意味に発展しました。

（産経国際書会専管理事　鈴木曉昇）

書・鈴木曉昇