水に浸した草木の色で染め上げる「染」

　朝顔の汁に布を浸(ひた)すと綺麗(きれい)な色に染(そ)まるね。今回は「染」を見るよ。
　元字の左は「氵(さんずい)」で水。糸を染めるときにこの水に大切な役割があるよ。右は「朶(だ)」といって花や枝葉が枝垂(しだ)れている形だよ。それで草花や木が本来持っている色を糸（布）に染め上げることを意味するんだ。
　この元字が「染」となったよ。水に植物をつけて色を出すから「氵」があるんだね。そこから色を（染める）の意味で染色(せんしょく)・染料(せんりょう)・染織(せんしょく)と、色が他に「染(し)みる・染まる」ことも表し、伝染(でんせん)・感染(かんせん)・汚染(おせん)などと使われるね。ちなみに煙が目に、薬が傷に「しみる」は染みるではなく「沁(し)みる」と使うよ。また、「大人じみた(・・・)服を着ている」は、染みが付いているのではなく「のような」という意味だよ。
（産経国際書会副理事長　勝田晃拓）