心の中に深く思う「念」

　新型コロナウイルスで自粛を求められ３年、やっと念願の旅行が叶い始めましたね。そこで今回は「念」についてお話しします。
　「念」は「今」と「心」の形声文字で、音読みは「ネン」、訓読みは「おも（う）、こころ」です。「今」の金文「」は栓(せん)がついている器の蓋(ふた)を示し、「心」の金文「」は心臓を表しています。
　すなわち「念」は、蓋をして中の物を閉じ込めるように心中に隠すことから、心の中に深く思うという意味になりました。口に含む意味の「含(がん)」や、わずかに声を発する意味の「吟(ぎん)」も、「念」の「今」と同じ意から発しています。
　また、われわれは「今」を「今昔」の「いま」として使用していますが、元来「今、現在」の意味を持つ文字ではなく、音を借りた仮借(かしゃ)文字として、使われているのです。
　「念」のつく文字はたくさんあります。皆さんも調べてみてくださいね。
（産経国際書会常務理事　眞田朱燕）