2018年2月18日

農具を清める儀式から生まれた...「静」

20180215_1.png  いつの時代(じだい)でも、農業(のうぎょう)は、天候(てんこう)(むし)(がい)収穫(しゅうかく)(おお)きな影響(えいきょう)(あた)えます。(はる)(むか)(はたけ)仕事(しごと)(はじめ)められるころ、殺虫剤(さっちゅうざい)化学肥料(かがくひりょう)もない古代(こだい)人々(ひとびと)はどう対応(たいおう)していたのでしょう。
 左上(ひだりうえ)金文(きんぶん)()てみましょう。右側(みぎがわ)は、大切(たいせつ)なものを保管(ほかん)する(かみ)倉庫(そうこ)から()()された農具(のうぐ)(耜=すき)「20180215_3.png」の上下(じょうげ)両手(りょうて)20180215_4.png」「20180215_5.png」に()ったかたちです。左側(ひだりがわ)は、井戸(いど)から()りだされた鉱物(こうぶつ)で、顔料(がんりょう)()())として使()われた青丹(あおに)20180215_6.png」で、この青丹を耜に()って(きよ)めたことを()しています。青丹は虫害(ちゅうがい)()けると()われ、農具に塗ることで豊作(ほうさく)を神に(いの)ったのです。
 「静」という文字(もじ)は、青丹で耜を清め(はら)儀式(ぎしき)(あら)わす文字だったのです。儀式によって穀物(こくもつ)の収穫が「(やす)らか」であることを(ねが)ったので、「しずか」の意味(いみ)にもなりました。
 (こころ)が安らかだと気持(きも)ちも(ゆた)かになり、(たの)しいことがたくさん()かんで()ますね。
(産経国際書会常務理事、眞田朱燕)

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