2016年11月25日

[95]名誉顧問・抱雲会名誉代表 手島泰六さん(69)

抱牛
明るく清明、独自の書 受け継ぐ
 「書を国際的な芸術に高めた右卿ゆうけいをはじめ、それぞれが現代書に新しい地平を切り開いた3兄弟の背景には生まれ育った安芸の進取の風土があるのです」

 全国初の書道専門の公立美術館として知られる高知県安芸市立書道美術館で「平成鷹の子書展」を開催している(来年2月19日まで、毎月曜と12月29~1月3日休館)。手島右卿、髙松慕眞、南不乗の3兄弟と家族、門弟の作品115点を展示。「鷹の子」とは、3兄弟の父鷹太郎からの命名で、没後101年を記念した。

 右卿の「崩壊」を始めとする3兄弟の代表作37点が、不乗が設立に尽力した美術館を舞台に居並ぶさまは壮観。若き日の画家・右卿による昭和天皇の肖像画や、慕眞の、時代を先取りしたような現代詩文も新たに発見、展示されている。

 右卿の長男で、自身も数々の国際賞に輝く現代書家。今回は鷹の子家族として、「遼」を出品した。「叔父の不乗からは、(父の)まねをするな、と常に言われた。不乗も独自の道を探り続けた。明るくて清明な日本の書をこれからも極めていきたい」。(福本雅保)