2015年5月22日

[77]副理事長 煌心書道会代表理事 橋本泰風さん(80)

天壌無窮
師・山田松鶴氏の書にほれ込んで
橋本泰風さん
天壌無窮。天地は永遠に続くということで、煌心書道会が末永く発展しますように、と願いを込めて書いた作品という。師である山田松鶴氏の優麗な書に惚れ込み、後を追い続けてきた。松鶴氏の教えはまず楷書3年。楷書を極めるとどんな書にも対応できるとし、創作の実践は、続いて勉強する臨書から始まると指導した。臨書の選択は個人に任せられたため、清代末期の能書家で中国古来の文字の研究家であった趙之謙を選び、それも3年続けた。

学ぶべき書はこれだと思ったのは22歳の独身時代。当時住んでいた熊本の古書店で見つけた競書誌の「書海」、松鶴氏は発行元の書海社の重鎮のひとりであった。近くに教室はなく投稿を続けたが、結婚して上京したのをきっかけに門下に入った。

松鶴氏が書海社を離れて鶴心書道会を立ち上げた時も従った。会は松鶴氏の死後、約40年の歴史を閉じて昨年、煌心書道会と名を変えて再出発したばかり。自分の字が自由に書けるようになったと思いながらも、偉大であった師への追憶は尽きない。(松本篤幸)