2011年3月11日

産経国際書会専管理事 石川陽竹(ようちく)さん(77)

生きている限り勉強を続ける

 「ある日、どうしても書けなかった線が竹の節を一つ越えるように、ふっと書けるようになるのです。生きている限り勉強を続けていきたいですね」

 4人目の子供を出産した直後から書を本格的に学び始めた。夫の石川球太氏が売れっ子漫画家として、アシスタントや編集者らに囲まれて忙しく働く姿を見て、自分も独り立ちできる技術を身につけたいと思ったからだ。

 大東文化大学教授だった今関修竹氏の「日本舞踊のような優雅で美しいかな書にひと目ぼれ」して師事。乳飲み子を抱え、夫らに夜食を作る合間に古典の臨書を重ねた。

 かな書の魅力は「墨色と空間(余白)にある」と語る。「なかなか会えない恋人とやっと会えたときの喜びと同じで、墨をつけたくても我慢して我慢して、やっとつけると、濃淡の味が出る」

 昭和51年、東京都国立市に新居を構えたのを機に書道教室「雪筍会」を創設して独立。「少しでも多くの人に、すてきな書の世界を伝えたい」と始めた「雪筍会書作展」は今年で33回目を数え、24日から29日まで国立市のアートスペース 画廊で開く。(原誠)