2010年12月10日

産経国際書会理事長代行・風岡五城(かざおか・ごじょう)さん(62)

大きなもの感じさせる字を

 自身にとっての「書」とは何かと問うと、「私そのものですね。全身全霊で打ち込んできましたから」と答える。

 書の深淵(しんえん)をのぞいて夢中になったのは愛知教育大学の学生時代。学校のクラブだけでは飽き足らず、小・中学生の時の師、山本宏城(こうじょう)氏の元に再び通い始めた。

 中学校の国語教師になって7年が過ぎたとき、母校の恩師から声がかかった。以来、助手、助教授、教授と肩書は変わっても、自分の書を追究し続ける姿勢は変わらない。

 30歳前後の数年間は中国の清末の書家で、がっちりとした重みのある字を書く趙之謙(ちょうしけん)に没頭した。「圧倒的な迫力を感じて、寝ても覚めても趙之謙でした」

 だが、同じような字が書けるようになると、自分の作品に趙之謙の影を感じてくる。そこで、次は北魏時代の字を目指すというように、一つ一つ新たな境地を切り開いてきた。今は「ど~んと大きなものを感じさせる字を書きたいですね」と語る。

 学外でも後進の指導に熱心で、東海3県の書家を束ねる「東海書道芸術院」の副会長や、宏城氏が創設した「宏道書会」の名誉会長などを務める。(原誠)