2010年10月 8日

産経国際書会副理事長 渡邉麗(わたなべ・れい)さん(62)

「現代書の楽しさ伝えたい」

 「生きた言葉を今の表現で書く現代書の楽しさを伝えていきたい」

 戦後の「現代書」のパイオニアで、産経国際書会の創設メンバーの一人でもある父、国井誠海(せいかい)氏が設立した書道団体「誠心社」の代表を引き継いで2年。現代書という表現手法を世界に向けて発信し、次世代に「つないでいく」ことが使命と任じる。

 後継者の道を意識したのは、大学卒業直後に、ニューヨークで個展を開く父に同行したときだ。異文化の地で現代書の魅力を伝えるため、書の実演やマスコミ対応、関係者との会食などをエネルギッシュにこなす父の姿に感銘を受けた。

 文芸評論を志した時期もあるだけに、書のテーマはすべてオリジナル。とくに「光」と「風」という言葉を好む。ただし、古典の臨書を重ねることで基礎を磨くという「王道」ははずさない。「古典の背景にある歴史を学ぶことも現代書の楽しさです」と語る。

 30日から1週間、東京都台東区の上野の森美術館ギャラリーで開く「誠心社現代書小品作展」は、会場全体がモダンアートのような雰囲気に。11月13日からは山形市の国井誠海記念館に移動して開く。(原誠)