2017年10月 1日

もとは背中を表わした...「北」

sumi_to_fude_20170930_1.png  地球(ちきゅう)には、「(ひがし)」「西(にし)」「(みなみ)」「(きた)」という方位(ほうがく)があります。今回(こんかい)は、「北」という文字(もじ)(かんが)えましょう。
 左上(ひだりうえ)金文(きんぶん)()ると、(ひと)sumi_to_fude_20170930_3.png)が二人(ふたり)、お(たが)いにそっぽを()いて、背中(せなか)()わせに()っていますね。(じつ)は「北」は、もともと背中や(うし)ろを(あら)わす文字でした。
 南(がわ)太陽(たいよう)(ひかり)(あか)るくてものがよく見えます。聖人(せいじん)は南に対面(たいめん)して天下(てんか)(おさ)めるもの、とする()(うらない)の考えから、古来(こらい)の王は、儀式(ぎしき)()(おこな)うとき、南向きに(すわ)りました。南向きに座った王の背中は北向きになり、王が背中を向ける方向(ほうこう)が、方位の「北」になったのです。
 のちに、方位の「北」と区別(くべつ)するため、「北」に「月」(にくづき)を()け、「背」という文字がられました。「南」は(よう)、「北」は(いん)という考えは、(はか)集落(しゅうらく)の北に作り、(いえ)()てるときに玄関(げんかん)を南向きにすることにもつながっているようです。
(産経国際書会常務理事、眞田朱燕)

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