神さまへのおふだに書かれた神聖な言葉　「書」

　地球(ちきゅう)に人類(じんるい)が生存(せいぞん)するようになり、やがて集落(しゅうらく)をつくって住(す)まうようになると、何(なに)かを伝(つた)えるための手段(しゅだん)として、文字(もじ)が作(つく)られました。そして人間(にんげん)は、その文字を書(か)くようになりました。
　そこで今回(こんかい)は、「書(しょ)」について考(かんが)えます。
　「書」は、筆(ふで)を手(て)に持(も)つかたちの「聿(いつ)（）」と、「者(もの)」からなっています。「者」は、神(かみ)さまに願(ねが)い事(ごと)を書いたおふだ（祝詞(のりと)）を入(い)れた器(うつわ)（）を、土(つち)の中(なか)に入れ、上(うえ)に木(き)の枝(えだ)を重(かさ)ねて土をかぶせたかたちです。
　集落のまわりを囲(かこ)む土垣(つちがき)の中に祝詞をおさめると、土神(つちがみ)さまの力(ちから)で集落の人々を悪霊(あくりょう)から守(まも)る、とされていました。そのおふだに書かれた神聖(しんせい)な祝詞の文(ぶん)を「書」と言(い)いました。
　のちに、書は書くこと、文字や手紙(てがみ)、本(ほん)や書道(しょどう)などの意味(いみ)を表(あらわ)すようになったのです。

（書：産経国際書会常務理事　眞田朱燕）